「ブルーオーシャン戦略」感想

今話題の本、「ブルーオーシャン戦略」を読んだ。
ブルーオーシャン=新しい市場の創造により企業は大きな利益を得ることができる。現在の市場において多くの企業は血みどろの競争市場=レッドオーシャンでの戦いを余儀なくされているが、いかにして過当競争から抜け出すかというテーマの本。
現在の市場では、同業他社を意識しながらパイの取り合い(ゼロサムゲーム)を繰り返している。この状態では、得られる利益に対する労力はどんどん拡大する。そんな企業で働く社員もレッドオーシャンでの戦いに勝つことを要求される。
企業も社員もそして顧客も満足するためには、ブルーオーシャンをつくることが効果的だ。
ブルーオーシャンをつくるためには、3点が必要。「メリハリがある」「独自性が高い」「買い手の心に訴えかけるキャッチフレーズがつけられる」だ。現在ある労力の中でメリハリをつけ、必要でない部分は思い切って捨てて、独自の部分に力を注ぐことはビジネスをする上では最も重要だろう。この部分には深く共感する。
私が会社員時代に感じていたのが、この効率化の部分がなかなか社内での評価に結びつかないことだ。私は営業をしていたが、不必要な部分を削って仕事を効率化し結果を出したとしても、それはラッキー、たまたまそうなっただけと判断されることがあった。業務時間をいっぱいに費やし(時には休日も返上して)努力した結果得られた数字こそが最も評価に値するという目に見えない基準が存在していたように思う。また、いかに他社製品を圧倒する知識を持っており、それを顧客に納得させる力があるのかということが、会社の求める重要な項目であったように思う。しかし、実際の市場では、自社品のメリットの羅列、他社の誹謗で顧客を納得させることはできない。これぞ切り捨てるべき不必要な部分だ。力を注ぐべきは、顧客の話しを聞くことだろう。他社製品のことを考える暇があれば顧客のことを考えるべきだ。そうすれば仕事は効率化する。
また、社内では同僚、同期とのレッドオーシャンでの戦いを強要される。すでに決められた数のポストを取り合うよう競争へと追い込まれる。まさにゼロサムゲームだ。
私は25歳のときにゆくゆくは自分で事業を起こしたいと考え始めた。私が何故そう考え始めたのか...なんとなく考えていたことがこのここに解説されている気がする。
ただ、ブルーオーシャンをつくることは、この本に書かれているほど容易なことではない。著者自らも書いているが、どのような企業も産業も栄枯盛衰は避けられていない。もし、ブルーオーシャンをつくることができれば、永遠に拡大を続けていくことが可能なはずだ。それだけにブルーオーシャンを創造することは意義ある発明であるといえる。